根尖病巣部位の抜歯後即時埋入の検証
【1】患歯は根管治療を2度行い、外科的処置(根尖ソウハ)もおこなっていますが、根尖部にフィステルが認められます。患歯近心に外科的処置時の切開線が瘢痕として認められます。これ以上治療を繰り返しても良好な予後が期待できません。抜歯してインプラントを埋入する計画をたてました。 | |
【2】抜歯した咬合面観。不良肉芽の除去は必須です。 | |
【3】フラップレスにてインプラントを埋入しました。口蓋側に低位埋入が抜歯即時埋入の基本となります。 | |
【4】インプラント埋入後、骨補填材を填入した状態。吸収速度を考えて骨補填材を選択することがポイントとなります。 | |
【5】縫合した状態。 | |
【6】埋入直後のデンタルX線。インプラントの埋入深度が参考になると思います。 | |
【7】埋入後2ヶ月半で最終補綴物装着となります。フラップレスの術式を選択したため痛み、腫れを最小限に抑えることが可能となります。。 | |
【8】術後約5年後のCT像。頬側の骨は維持され炎症所見もなく良好に経過しています。長期維持安定していくと予想されます。 |
昨年のシンポジュウムで病理学者が炎症がある部位にインプラントを埋入することは考えられないと、抜歯即時埋入に否定的な発言をしていました。残念ながら私の臨床では抜歯即時埋入により埋入されたインプラントは成熟側に埋入されたインプラントと同等の予後が期待できます。この症例においてもフィステルが認められましたが良好に経過しています。
過去、東京都を財政難に追い込んだ知事として経済学者の美濃部知事が有名です。経済学者が財政難に追い込むのと、病理学者が抜歯即時埋入を否定するのが似ているように感じてしまうのは私だけでしょうか?
炎症巣が認められる部位への抜歯即時埋入の予後でした。