HAインプラントのリカバーの考え方
【1】右下67がカリエスにより保存不可能でインプラント治療により審美的、機能的回復を計画しました。右下8が埋伏しています。インプラントの抜歯即時埋入と水平埋伏智歯の抜歯のコンビネーションになります。 | |
【2】抜歯後の咬合面観。67抜歯後水平埋伏智歯の抜歯へ移行します。 | |
【3】粘膜を剥離し、不良肉芽を徹底的に除去します。水平埋伏智歯の歯冠部が認められます。 | |
【4】水平埋伏智歯を抜歯した状態。当然不良肉芽は徹底的に除去します。 | |
【5】インプラントを埋入した状態。7遠心には大きな骨欠損が認められます。 | |
【6】HAメンブレンテクニックによりGBRを行います。 | |
【7】縫合した状態。抜歯窩部位を確実に閉鎖して、骨膜の骨造成能も期待します。減張切開を加えることにより、無理なく歯肉弁を閉じることが可能となります。 | |
【8】術後2週間後に7遠心部が感染しましたが、抗生剤の投薬により症状はおさまりました。その後3ヶ月の状態です。 | |
【9】術後3ヶ月、粘膜を剥離した状態。6、7近心部までは骨様組織に覆われていますが、7遠心感染部位は骨様組織に覆われていません。 | |
【10】7遠心の粘膜を剥離してカバースクリューを外した状態。遠心の骨面を丁寧に掻爬して洗浄しています。HAインプラントの表面はクエン酸処理をすることなく、欠損部位に骨補填材を填入しました。 | |
【11】ジンジバルカフを装着して縫合した状態。 | |
【12】最終補綴が装着され、審美的、機能的回復がなされています。 | |
【13】補綴物装着2ヶ月後のX線像。インプラント周囲に透過像が認められます。 | |
【14】補綴物装着14ヵ月後のX線像。インプラント周囲の透過像が消失して骨様組織に置き換わってきています。7遠心部もクエン酸処理することなくインプラント周囲は骨様組織に覆われてきています。 |
HAインプラント感染時には表層をクエン酸処理する手法がスタンダードとなっています。強酸性で表層の感染部を溶かし、新しい面を露出することを目的としています。
この症例においては感染した表層を洗浄のみで対応して良好な結果が得られています。PART5で抜歯窩治癒不全において洗浄のみで対応した症例を紹介していますが、感染部位も洗浄のみで良好な結果が得られると考えています。その理由は後日文献を紹介して解説しようと思います。
HAメンブレンテクニック唯一の感染症例でした。