右下6番治療例

インプラント周囲骨の経年変化・骨が回復した症例

インプラントとアバットメントの接合部はマイクロギャップと呼ばれ、その接合部の僅かな溝に存在する細菌叢がインプラント周囲の骨吸収に関係するという考え方があります。また、アバットメントとインプラント体の接合部の機械的刺激によるアバットメント由来の炎症性細胞浸潤を伴う結合組織が存在して、その垂直方向への進展がインプラント周囲の骨吸収に関係しているという考え方があります。
そして、補綴部物とアバットメントの接合部をマクロギャップと言い、マイクロギャップより細菌叢が生息しやすくインプラント周囲の骨吸収の大きな原因と考えている臨床家もいます。
症例を通して考えて見ましょう。

インプラント埋入後2ヶ月のレントゲン像 【1】成熟側のインプラント埋入です。インプラント埋入後2ヶ月のレントゲン像です。近遠心に骨吸収が認められます。
インプラント埋入後3ヵ月のレントゲン像 【2】インプラント埋入後3ヵ月のレントゲン像。インプラント近心に認められた深い骨欠損の回復が認められます。インプラントにジンジバルカフが装着されています。
インプラント埋入後4ヵ月のレントゲン像 【3】インプラント埋入後4ヵ月のレントゲン像。インプラントに最終補綴物が装着されました。
インプラント埋入後4年半後のレントゲン像"" 【4】インプラント埋入後4年半後のレントゲン像。インプラント周囲の骨の回復が認められます。。
矢状面のCT像 【5】4年半後の矢状面のCT像。レントゲン像と同様にインプラント周囲の骨の回復が確認できます。
前頭面のCT像 【6】前頭面のCT像。インプラント周囲の骨がマイクロギャップ、マクロギャップに関係なく回復してきることが確認できます。この症例からインプラント周囲の骨吸収をギャプ理論で説明するには無理があることがわかります。リモデリング、ソーサリング現象、水平的生物学的幅径も認められません。逆に骨が回復していく例が少なくないことは、おわかりいただけるた思います。自分なりに整理していつかお話させていただきます。

マイクロギャプ理論はヘルマンによって提唱されました。ヘルマンはストローマンよりの研究者でこのマイクロギャップ理論は1回法のインプラントを有利に普及させるために書かれたり論文である可能性があります。
私はマイクロギャップ理論もマクロギャップ理論も否定するつもりはありません。ただ骨吸収のすべてをギャップ理論で解決するのは無理があるように思います。1つのリスクファクターと捉えるべきでしょう。
この症例は繰り返し咬合調整を行い一口腔単位で力のコントロールを行っています。

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