右下4番O-リング治療例

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コンプレッションネクローシス

インプラントを埋入して即時負荷をかけることが可能な条件は埋入トルク値とペリオテスト値に集約されます。埋入トルク値はねじ込み時のトルクで30~35Nで即時負荷の条件を満たします。一方ペリオテスト値はインプラント体の揺れを表す指標で0以下でオッセオインテグレーションしているといわれています。また埋入時のペリオテストが-2以下であれば即時負荷の条件を満たします。
以上の条件を参考にフックスチャーの長さが長ければ長いほど即時負荷の成功率は高くなります。即時負荷を行わなくても、埋入トルク値、ペリオテスト値の値が良ければ早期(約8週)に負荷をかけることが可能となります。実際、私の臨床でも治療期間の短縮を考えると、シリンダータイプのインプラントよりもスレッドトタイプのインプラントを使用することが多くなってきました。
ただし、初期固定獲得を優先しすぎると落とし穴があります。埋入トルク値を高くすることの弊害として、インプラント周囲の骨が圧迫壊死することがあります。この現象をコンプレッションネクローシスと呼び、骨が硬い下顎のインプラント埋入で起ることがあります。ではコンプレッションネクローシスが起った時、どのように対処すればよいのでしょうか?症例を通して考えてみたいと思います。

埋入時のレントゲン写真 【1】患者様は83歳と高齢です。義歯をOリングで固定するためのインプラントを埋入しました。埋入時のデンタルX線像。
3週間後のレントゲン写真 【2】その後3週間経過するとインプラント周囲に透過像が認められるようになりました。圧痛も認められますがそのまま経過観察をしていきます。
術後5ヶ月のレントゲン写真 【3】術後5ヶ月のデンタルX線像。透過像も消失しOリングが装着されています。ペリオテスト値もー2で臨床的に問題のない範囲におさまってきています。その後2年間問題なく機能しています。

コンプレッションネクローシスは感染ではなく、その後の骨のリモデリングを期待して経過観察してよさそうです。
ただし、初期固定が必要なく骨伝導能を有するHAインプラントであるから良好な予後が期待できるのでしょう。

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