右下5番、6番、7番長期経過

HAインプラント周囲骨の経年変化  PART2

HAインプラントの特徴として、骨伝導能、骨との強固な結合(バイオインテグレーション)が考えられます。当院ではそのHAインプラントの特徴をを利用して、抜歯即時埋入、サイナスリフト、GBRを臨床応用しています。HAインプラントは骨と強固にインテグレーションすることで、骨質のを問わず安心して利用できる利点があるといえるでしょう。ただし、その長期予後を疑問視する臨床家がいることも事実です。HAインプラントの長期予後の症例を通してHAインプラント、インプラント周囲組織について考えてみようと思います。

術後3年のレントゲン写真 【1】 私が開業する以前にインプラントを埋入しましたので、術後3年からのレントゲン写真となります。最後臼歯部遠心に骨が吸収が認められます(↑)。患者様は咬合力が強くオクルーザーで測定すると約1000Nあります。一般的にインプラントが耐えうる咬合力は800Nまでといわれています。
術後7年のレントゲン写真 【2】 術後7年。インプラント周囲の骨が回復してきていることがわかります。何故インプラント周囲の骨が回復してきたのでしょうか?それは何故術後3年でインプラント周囲に骨吸収が認められたか?と関係してきます。術後3年、右側の臼歯部のインプラント治療のため約6ヶ月左のみで咬んでいまいた(以前は抜歯即時埋入の概念がなく治療が長期化してました)。そして左右のバランスが保たれ、咬合がおちつくことでインプラント周囲の骨が回復してきたと考えてよさそうです。
術後13年のレントゲン写真 【3】 術後13年のレントゲン像。さらにインプラント周囲の骨の回復が認められます。インプラント周囲で骨が生き物のように変化していく現象は天然歯には認められない現象です。このような変化はHAインプラントに特化した現象なのか、チタンインプラントでも見られる現象なのかはわかりません。インプラント周囲に生物学的幅径が存在して、上皮性付着、結合組織性付着が存在するとしたら、このようなインプラント周囲の骨の変化は考えづらい現象と言えるでしょう。
最後臼歯インプラントのCT画像 【4】最後臼歯インプラントのCT像。インプラントは骨に囲まれ、今後も良好な予後が期待できます。

咬合力が約1000Nある患者様の長期予後からHAインプラントの予知性の高さがうかがえます。また、咬合力の強い場合、HAインプラントの適応症といえるでしょう。インプラントロジストには力のコントロールに対する高い認識と、技術が要求されます。
インプラント周囲の骨吸収が、ほとんどペリオ的な視点から論じられることに違和感を感じているのは、私だけではないと思います。

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