HAコーティング埋入後7年経過の症例から検証する
HAインプラントは現在日本で多くの臨床家に支持されています。しかし過去コーティング層が解ける、剥がれるという報告があったことも事実です。その報告の裏にはインプラント治療という巨大なマーケットを競うインプラントメーカーの情報操作があったことは否めません。実際HAインプラントを批判する代表的な文献ウィラーの文献にも巧妙なトリックが存在することが分かっています。
HAインプラントに肯定的な文献でもHAコーティングが溶解したり、剥がれる原因は感染であるという報告があります。感染によりPHが上がり溶解するという考え方です。実際に感染部位のコーティングはどのようになっているのでしょう?埋入後7年経過後感染したHAコーティングを検証してみようと思います。
【1】当院は口腔清掃状態が良好な患者様が多く感染した症例は非常に少ないのが現状です。そのなかではこの患者様は特別な症例と考えて頂きたいと思います。 遠心のインプラント周囲透過像に覆われ、感染により骨が吸収していることがわかります。埋入後7年以上経過したX線像です。 |
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【2】口腔内の状態。遠心インプラントネック部から排膿が認められます。 | |
【3】補綴物を外した状態。補綴物は5、6連結された補綴物です。 | |
【4】歯肉弁を剥離し丁寧に不良肉芽を除去します。コーティング部は触れることなく骨面から不良肉芽を除去していきます。コーティング層が剥がれて見えますがこれは白黒画像のせいで、血液がコーティング表面にまだ残っている像です。 | |
【5】インプラント表面の不良肉芽除去後に洗浄します。この症例も洗浄のみで対応しました。 | |
【6】洗浄後の状態。コーティング層がしっかり残存していることがわかります。埋入後7年経過後の感染症例においてコーティング層が明らかに残存していることを考えれば、HAインプラントのコーティング層は基本的に生体内で安定していると考えてよさそうです。。 | |
【7】拡大像。根尖部までコーティング層は残存しています。この状態でペリオテスト値はー1でした。 | |
【8】HAメンブレンテクニックによりGBRを行います。。 | |
【9】縫合した状態。 |
いまだにHAコーティングの生体内での安定性に疑問を持つ臨床家がいるようですが、この症例でその議論に決着がつきそうです。
7年予後の感染症例のHAコーティングでした。