AエキスパンションドリルとHAメンブレンの併用
【1】患者様は右下4欠損による審美的、機能的障害を主訴に来院なされました。初診時の模型です。顎提の吸収が著しくインプラント埋入にはGBRが必要と思われます。患者様は両隣在歯を削るブリッジによる処置は受け入れず、インプラントによる処置を強く希望なされました。 | |
【2】3、5間のスペースが広いため診断用ワックスアップにより最終補綴物のイメージを確認します。 | |
【3】1次手術。粘膜を剥離した状態。顎提の幅は3ミリ強でナローなインプラントであれば顎提のエキスパンジョンにより内側性に埋入が可能であると診断しました。 | |
【4】エキスパンジョンドリルで慎重に顎提を拡大していきます。 | |
【5】エキスパンジョンドリルでインプラント床の形成が終了した状態。頬側の裂開が認められます。 | |
【6】インプラント体を埋入した状態。径3.25m、長さ10mmのHAインプラントを埋入しました。 | |
【7】頬側に骨補填材を填入した状態。頬側が裂開しているため術後の骨吸収が予想されます。HAメンブレンテクニックにより頬側に骨造成をおこないます。 | |
【8】HAメンブレンにより被覆した状態。 | |
【9】縫合した状態。 | |
【10】術前のオルソパントモ像。患者様は過去外科矯正の既往があります。歯並びも変則的で右下は小臼歯が3本の形態で咬合の再構成をおこなうことになります。 | |
【11】術後のオルソパントモ像。 | |
【12】術後3ヶ月のCT像。(咬合面観)インプラント頬側に骨様組織がが認められます。 | |
【13】術後3ヶ月のCT像(前頭面観)。同様に骨様組織が頬側に認められます。 | |
【14】術後3ヶ月の咬合面観。顎提の幅が増大されています。(【1】と比較) | |
【15】最終補綴物を装着した状態。審美的、機能的回復がなされています |
下顎小臼歯部の狭窄歯列弓の症例でした。この部位は頬側にオトガイ孔、舌側に舌下動脈、オトガイ下動脈があり難しい部位です。特にGBRを行うときには細心の注意が必要と言えるでしょう。可能な限り顎提拡大して、内側性にインプラントを埋入することでGBRを補助的に行うことが可能となりました。治療計画では最初にGBRのみ行い、骨造成後インプラントの埋入を予定していましたが、同時埋入できたことにより、約6ヶ月治療期間を短縮できました。