首都の玄関口・東京駅のリニューアルが進んでいる。
駅に降り立つたびに耳にした騒音や、至る処に建ち並ぶ擁壁の 間を通りながら、完成を心待ちにしていたところである。リニューアル工事は平成19年に着手され、今年(平成24年)中に 終了する予定と聞いて居り、工事はまさに佳境に入っている。
リニューアルはJRの発表に拠れば、丸の内駅舎を創建当時の姿(3階建)に復元し、丸の内駅舎の前面中央部を駅舎 と一体となった広場として再整備すると共に、大丸百貨店が入居していた鉄道会館ビルの撤去により八重洲駅前広場を 再整備してツインタワーを建設する事を目的として開始された。
現在、丸の内駅舎の外観復元工事はほぼ完成し、太平洋戦争時の空襲で焼失した3階とドーム部分が再建されて、開
【 丸の内側から見た南ドーム】
業した大正時代の姿が蘇えった。
丸の内駅舎中央部前広場は、皇居から東京駅を結ぶ景観に配慮しつつ、広場の南北部分に交通広場を整備するのに 合わせて中央部分を駅舎と一体となった広場として整備されている。
大丸が入居していた鉄道会館ビルの撤去とツインタワー建設は既に終了し、ツインタワーのうち北側のビルはノースタ ワー(43階建)、南側のそれはサウスタワー(42階建)と名付けられて平成19年に竣工した。
ノースタワーの低層階部 (地下1~13階)で大丸が営業中である。
また来年(平成25年)は南北両タワーをペデストリアンデッキ・「グランルーフ」 が竣工を予定し、平成26年には八重洲口駅前広場が竣工する予定との事である。
【八重洲側の完成予想図 】
東京駅の開業は大正3年(1914年)であるが、それ以前の東京の鉄道事情は明治22年(1889年)に神戸まで開通した 官営鉄道の新橋駅と私鉄・日本鉄道の上野駅の間に鉄道は無かった。
そこで、東京市区改正計画によって両駅間を高 架鉄道で結ぶ計画が立てられ、新線の途中に中央停車場を建設する事が明治29年(1896年)の第9回帝国議会で可決 された。
日清、日露両戦争を経て、建設工事が進められ、大正3年(1914年)12月に東京駅は開業した。駅は丸の内口だけで、 八重洲口が開業するのは昭和4年(1929年)になってからであった。
太平洋戦争末期の昭和20年(1945年)5月、米軍の 空襲で焼夷弾が着弾して大火災となり、焼失の著しかった3つのドーム部分の3階部分は修復に際して2階建に変更され た。
八重洲側はその後失火で焼失したが建て替えられ、デパートの出店や地下街の拡充などが進められた。 昭和39年(1964年)に東海道新幹線が開業し、昭和47年(1972年)、平成2年(1990年)には夫々総武地下ホー ム、京葉地下ホームが営業を開始、平成3年(1991年)には東北新幹線が乗り入れるなど、東京駅は順次拡大・発展し て来た。
さらに、平成26年(2014年)の完成を目指して宇都宮線、高崎線、常磐線の一部列車が上野駅から東京駅まで乗り 入れる「東北縦貫線」の建設が進行中である。これは、「東京駅から新幹線!」という、北関東住民の長年の夢を叶える 宿願の快挙で、一日も早い完成が待たれるところである。
院長記、