歯周病と細菌性心内膜炎

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歯周病菌と細菌性心内膜炎

 

細菌性心内膜炎は歯周病菌が原因で起こりうる全身疾患のひとつです。

歯周病を改善させることは細菌性心内膜炎を予防することにも繋がります。

 

 <細菌性心内膜炎とは?>

定義心臓内膜に細菌集簇を含むゆう腫を形成する全身性敗血症性疾患である。

血液に入った細菌が心臓に侵入し、心臓の内膜や心臓弁に細菌を含むイボ状の腫瘤がつくられ、感染し、心機能が障害される病気のことです。

このイボ状の腫瘤(ゆう腫とも言います)の中にはたくさんの細菌が付着しています。

細菌性心内膜炎は後天性の心臓の疾患を持っている場合に起こることが多いです。

細菌が心臓弁に付着してしまうとそこで細菌が増殖し、膿を形成、やがて細菌の塊や血の塊が崩れ他の血管に飛んでいき、飛んだ先の血管が脳なら脳梗塞、心臓にいく血管なら心筋梗塞や心不全を引き起こす場合があります。

発症頻度万100万人当たり年間10~50症例で、それほど頻度の高い疾患ではありませんが、適切な診断のもと治療をしないと多くの合併症(心不全、脳梗塞など)を引き起こし、死に至る場合もります。

 

心内膜感染

・イボ状の腫(ゆう腫)ができるまで

心臓は4つの部屋(右心室、右心房、左心室、左心房)に分かれており、それぞれの部屋の間には弁がついていて、血液の逆流を防いでいます。

先天性心疾患(弁の異常や中隔欠損など)や、後天的な弁疾患、または弁疾患治療の為に手術により人工弁が装着されている方は、心臓内での血流に異常が発生することがあります。弁がうまく閉まらないと、心臓が収縮したときにその隙間を血液がジェット噴射のように逆流します。強い圧が吹き付けられる部分には内膜の損傷が起こりやすく、その部分に血小板とフィブリンが付着し、血栓を形成してしまいます。この非感染性血栓に細菌が付着・増殖し、それに反応して血栓内で毛細血管の新生、繊維芽細胞の増生が起こるとゆう腫が完成します。

 

ゆう腫形成

~歯周病菌とのつながり~

歯周病罹患者は歯肉が健康な人に比べ1.5~2倍細菌性心内膜炎の発症率が上がります。
人工弁置換術を受けた方や心内膜炎の既往歴がある方は歯周病菌によって細菌性心内膜炎を発症するリスクが高いので把握しておく必要があります。
歯周病になると歯肉の血管が出血したり、炎症の為歯肉の血管の拡張が起こります。
その血管の隙間から歯周病の細菌が入り込んで細菌性心内膜炎を引き起こします。
口腔環境が悪い状態で抜歯などの外科的処置を行うことも細菌性心内膜炎の誘引になることがあるので、リスクが高い方は抗菌薬を服用しながらの歯科治療や治療前に口腔環境を整える必要があります。

歯周病菌が血管内へ侵入

 

細菌性心内膜炎を引き起こす経路

目黒石本歯科クリニックの歯周病治療

歯周病を改善させるには歯周病のことを正しく理解し、根本的に改善していく必要があります。
歯周病は歯周病菌による感染症なので、口腔内の歯周病菌をコントロールすることが治療につながります。

 

①機械的清掃とセルフケア

まず歯周病にかかっているということは患者様自身のセルフケアが十分でないことが考えられます。
歯医者に定期検診に行くことももちろん大事ですが、毎日のセルフケアもとても大事です。
軽度の歯肉炎の場合、患者様自身のセルフケアと歯科で行うプロフェッショナルケアで歯肉の腫れは治まり歯周ポケットの改善が望めます。

 

 

②バクテリアセラピーを取り入れる

バクテリアセラピーは善玉菌を体内に取り入れることによって体の中にいる菌のバランスを整え体質を変えていく細菌療法です。
口腔内では歯周病菌や虫歯菌を減らす効果があります。
バクテリアセラピーを取り入れながら歯科医院での機械的清掃を行うことで歯周病菌を約90%減少させることができると言われています。

詳しくはこちら

 

 

③抗菌療法

抗菌薬を服用せずに歯科による機械的清掃をを行うと一時的には歯周病菌の比率を下げることができるのですが、4週間もするともとに戻ってしまうことがわかっています。
なかなか改善しない歯周病は抗菌薬の服用と歯科での機械的清掃を併用して行います。
抗菌薬を服用した状態で機械的清掃を行い歯周ポケット内の菌をかき出すことによって、抗菌薬でのバイオフィルム除去を伴いさらに効果を高めることができます。
抗菌療法は機械的清掃だけでは変えることができなかった菌の質を変えることができます。
しかし抗菌療法のデメリットとして抗菌薬を用いることによって悪玉菌だけでなく善玉菌までなくしてしまうということがあげられます。
なのでむやみに抗菌薬に頼っても良くないこともありますので診察相談の上治療方針を決めていく必要があります。
目黒石本歯科クリニックで処方している抗菌薬はジスロマックというものです。

(ジスロマックの特徴)
・感染部に集中して効果を発揮
ジスロマックの有効成分であるアジスロマイシンは、血液中の白血球中に取り込まれやすい性質があり、細菌など体内における異物を捕らえて消化・分解するという特徴があるため、薬の成分が効率的かつ集中的に感染病巣へ運ばれ放出される。そのため感染部以外への副作用を引き起こすリスクが少ない
・バイオフィルムの形成阻害に期待できる
・長期持続性
1日1回・3日間連続で服用するだけで7~14日ほど効果が得られる

 

 

 

 

 

 

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